前回、前々回の【グリーフことのは】に続いて、今回も8つのグリーフの局面の中から、5つ目の局面「爆発的感情」についてお話ししたいと思います。
感情をむき出しにするというのは、その人の固有経験です。周りの人には簡単には理解できないことも多くあるでしょう。
この局面を理解するうえで鍵となるのは、
「爆発的な感情は、抑圧して自分の殻の中にしまい込むのではなく、表出されなければならない」
ということです。
神仏に対して怒りを感じたことがあるかもしれません。今まで信じてきたものを信じることができなくなった自分に対して、強い怒りを感じている人も多くみられます。同じ教会や寺に属している仲間から「神や仏に対して怒りをぶつけるなんて……!」と反感を買うこともあるかもしれません。しかし信心の対象だからこそ、その気持ちをぶつけたくなるのです。その人には、そのような気持ちですら解放する必要があることを理解してください。
最後に知っていただきたいことは、この爆発的な感情の局面において大切なのは、『自分の内側に向けてはいけない』ということです。内向的に感情を表出した場合、その人は自尊心を保てなくなり、「うつ」、「罪悪感」、「身体的な苦痛」、「薄れることのない自殺憂慮」などの感情に常に悩まされことになります。もし、このような感情に陥ってしまったとしたら、その人の心や精神には注意を要するトラウマがあるので、すぐに専門家の助けやケアを求めてください。
爆発的に感情を露にすることは、グリーフプロセスにおいて自然なことです。しかし、外交的に感情を表現するなどして、悲嘆の作業を経験していくと、感情の爆発の激しさや強さや長さは変化していくでしょう。大切なのは、その気持ちを素直に、そして偏見をもたずに聞いてくれる人をもつことです。そうすることで、死別によって引き起こされた心の痛み、悲しみ、怒りなどを受け入れることが出来るようになります。痛みを感じることは、癒されるために必要です。迂回したり、潜り抜けたり、飛び越えたりできるものではありません。
死別を体験した人を理解し、支え、愛情を注ぎ、先入観にとらわれることなく話を聞き、その人の心の叫びを受け止めてくれるような人たちに囲まれて、自分を抑圧するのではなく、自分らしくいられることがもっとも望ましいことなのです。