今回は8つのグリーフの局面の中から、5つ目の局面「爆発的感情」についてお話ししたいと思います。グリーフプロセスにおいて、多くのご遺族が体験する「個性的で独特な経験」の中でも、もっとも勘違いをされ、周囲の人間がどうしてよいのかわからないと感じてしまう局面です。
「怒り」、「嫌悪感」、「非難」、「恐怖」、「恨み」、「嫉妬心」などはすべて爆発的感情といえるものです。爆発的感情は、一時的で突発的な性質をもっていますが、自然な反応であり、グリーフの過程の一部です。爆発的感情は、我々人間がもっている生存本能と密接に関係しています。死別などの別れに直面すると、しばしば、抗議したいという欲求を伴って現れてきます。
不幸なことに、現代社会は、これらの感情に対する理解に乏しいと言わざるを得ません。感情を人前で露にすることは、周りにいる人だけでなく自分自身をも混乱させしまいます。ここでは、この爆発的感情の本質について説明します。
爆発的感情といえば、怒りだけを取り上げて、必要以上に簡略化してしまう人もいます。しかし、文頭に述べたように、多くの人が怒り以外の様々な感情を体験します。爆発的感情の裏には、「痛み」、「無力感」、「恐怖感」、「苦痛」などの感情が隠されていることが多いです。もちろん、それらの感情はそれぞれに特徴がありますが、共通点をもっています。
爆発的感情は論理的ではないという人もいるでしょう。「そんなに怒ったって、亡くなった人は戻ってきはしませんよ」、「彼は死ぬつもりだったわけじゃないんだから、彼を責めたりしてはいけません」-こんなふうに合理的に考えようとしている自分に気づいたら、人間の「考え方」と「感じ方」は、まったく違うプロセスでできているということを知ってください。
考えるということは論理的であり、感じるということは論理的ではないのです。
爆発的感情とは必ずしも論理的でありません。それらは、善悪でも正誤でも片付けられないものです。人の感情を判定する必要はありません。
ただ感じてありのままに経験することが大事なのです。自分自身の感情なのですから、それを認めて表現する必要があるというだけです。
次回に続きます。