カテゴリーに【エンバーミング】を追加しました!このカテゴリーではエンバーミングについてのお話をつづっていきます。
今回はGSIの理念でもある「グリーフサポート」の観点からのエンバーミングについてお話します。
葬儀とは、宗教的・習慣的儀式の一環として行われていますが、残された者から見ますと、死というものを実感させ、最後のお別れをしながら、故人の一生の思いを偲ぶものであったりします。最近は何でも簡略化が好まれますが、葬儀の本当の意味を考えることで、故人と向き合える時間の必要性がわかると思います。
エンバーミングはその三大目的である、防腐、殺菌消毒、修復・化粧などを行い、安心できるより良いお別れを提供します。エンバーミングを施すことにより、時間にゆとりが生まれることや、修復後の対面によって、死の現実の確認ができるようになります。エンバーミングはアメリカではPreparation(プリパレーション・準備)とも呼ばれ、葬儀やVisitation(ヴィジテーション・弔問)のための準備として広く普及しています。
現在の日本のように、ご遺体の状態の変化が進む前に、火葬場や斎場のスケジュールから逆算して通夜・告別式の予定を慌ただしく立ててしまうと、ただ時間に追われるという形だけの葬儀になりかねません。また、ゆとりを持って葬儀を行うことはゆとりを持ってお別れの時間を過ごすということです。ゆとりあるお別れの時間を設けるということは、ご遺族や生前故人が作り上げてきた友人らが、故人についてお話する機会にもなります。共に思い出を語らい悲しみを別ちあうことは、悲しみを癒すうえで大切なことです。
また、エンバーミングをすることによって、故人とのお別れに際してご遺族の不安を取り除き、安らかな顔を見て、触れて、悲しむことに専念してもらうことができます。故人を直接見て死の現実を受け入れるということはグリーフプロセス(【グリーフことのは】グリーフの8局面を参照してください)の中で最も大切なことのひとつで、死別による悲しみ、心の痛みがどのようなものかを把握する為に必要です。
エンバーミングによってご遺体を保存し修復するということは、あくまでもご遺族の心の悲しみ(グリーフ)を癒すための「きっかけ」を与える手段であって、保存や修復だけが目的ではありません。私たちは、ご遺族がグリーフプロセスを進めていく上で、最初の一歩を踏み出すための「きっかけ作り」を、エンバーミングという技術を通じてお手伝いしていきたいと考えています。