今回は、以前に書いた8つのグリーフの局面の中から、第2の局面である『混乱、困惑、探索、思慕』について書きます。
個々人のグリーフプロセスは個性的で独特なものです。このことを理解するうえでも重要な知識として、多くの人がどのような体験をしてきたと感じているかについて、前回から解説しています。それらが、自身のグリーフの状況・状態を知る助けとなり、癒されることへと結びつくことを願っています。
グリーフプロセスの中で表出される感情、心理状態、体調、思い、行動の一つのモデルを提供するに際して、自分自身の体験がどのようなものであったか、どのようなものになるかを見つめてみることが大事です。あくまでモデルにすぎないので、自分の体験と比較したり、まだモデルと違うからといって、自分を責めたりする必要はありません。このことは覚えていていただきたいです。
②混乱、困惑、探索、思慕 (1)
グリーフの癒しの旅の中で、孤独感や恐怖感を最も感じるときは、死別に伴い混乱したり、困惑していたり、何かを探し求めていたり、昔を懐かしんで思慕にふけるときかもしれません。これらの体験は、死の現実に直面しはじめたときに始まることが多いです。死別の悲しみにくれていた人によると、「私は、孤独な旅人です。さらに悪いことには、その旅には目的地さえないのです。私は自分自身だけでなく、誰も見つけることができないのです」と感じていたそうです。このような感覚を持った人も少なくないでしょう。
この悲観の局面は、「ゴーイング・クレージー症候群(Going Crazy Syndrome)」を引き起こす。「おかしくなってしまいそうです」とか「涙が止まらなくて、何をしてもわからなくなってしまい、まるで気が狂ってしまったのかと思います」というような声を頻繁に聞く。グリーフにおいて、思考と行動はたいてい異なっているものです。自分の思考、感情、行動が正常なのか異常なのかについて知り得なくても、それは自然なことなのです。
以下のような体験は、身近な人との死別を経験した後にはごく一般的なことです。この回では、特に自分がおかしくなってしまったと感じたことのある方や、身近な人の中に自分がおかしくなってしまったのではないかと話している方をお持ちの方に、「あなたやその人の行動は、けっしておかしくないし、自然なことです」ということを受け入れていただくことを目的としています。そしてあなた自身が「おかしくなっていないし、気が狂ったわけでもありません」ということを知っていただきたいです。
次回に続きます。