これまでの【橋爪謙一郎ブログ】をいったんお休みし、グリーフについての更新も再開したいと思います。
今回は、以前に書いた8つのグリーフの局面の中から、ショック、否認、麻痺、不信感について書きます。
これらの言葉を聞くと、恐れを抱く人も多いでしょう。しかし、この「ショック、否認、麻痺、不信感」などは、我々が愛する人を亡くしたときに、その現実から一時的に我々自身を守ってくれている自然の防御方法とも言えるものです。
これらの経験を振り返って、多くの人が
「あの場所にはいたのだけど、本当の自分はいなかった気がする」
「夢を見ていたみたいだよ」
「葬儀のときに、自分がやるべきことは全てやったのだけど、でもその中にいたような気がしない」
というようなコメントを残したりもします。また、この時期には、めまいを感じたりすることもあります。
この時期に十分に死と向き合うことができなかった場合には、そのような体験が長く続いたり、強く感じられたりすることさえあります。その死がたとえ医師によってあらかじめ宣告され、予測されたものであっても、ショックや信じられない気持ちは起こります。
このような体験は、死別体験者が事実に直面出来るようになるまで、死別という脅威から保護してくれています。いわば防護壁となっているのです。
「心と身体の一時的なひと休み」、「心理的なショック吸収材」という役割を果たしています。頭では理解していても、信じることができなかったり、信じたくなかったりする状態なのです。
辛い現実を直視できるようになるためには時間が必要です。