前回に引き続き、8つのグリーフの局面から、最初の局面である『ショック、否認、麻痺、不信感』について書いていきます。
ショックを感じているときには、どんなことを話されたか覚えていないかもしれません。
精神状態が外界に向かって閉じているときには、聞こえていても、記憶に残りません。
例えば、一部の言葉しか覚えていないのにもかかわらず、周りの人に温かく支えられ、慰められたことはよく覚えているということもあるでしょう。そのような状態にある人には、ノンバーバル(非言語)による態度や存在自体が重要なのだと言えるでしょう。
また、ショック、否認、麻痺、不信感が同時に体験されると、まるで痛み止めのように動きます。痛みは存在しているにもかかわらず、あたかもそのすべてを感じていないという状態であります。自律神経系が通常時以上に働き始めることにより、動悸がはげしくなったり、吐き気、胃痛、めまいなどの身体的症状を伴うこともあります。
ヒステリックに泣き始めたり、怒りがこみ上げてきたり、大笑いしたり、気絶したりすることもあります。これらの症状を、現れるままにしておくなら、この人生の大きな変化に対応でき、生き残ることができます。
しかし、不幸なことに、このような行動を起こすことを必死に止めさせようとする人が多いです。心地よく感じられるようにと、静かにさせようとします。優先されるべきは死別体験者自身のニーズであります。助け手のニーズではありません。
ショック、否認、麻痺、不信感などは、グリーフから癒されていく長い旅の入口にすぎません。死の現実を受け入れることは、すぐには起こり得ません。頭脳、心、全人的に準備ができたときに初めて直視できるようになるのです。
グリーフは、時間の経過とともに軽減していくものではありません。悲哀の作業をしていくなかで、気分よく感じる日もあるでしょうし、悲しみの深い谷に落ち込んだように感じる日もあるでしょう。ベッドから出ることさえできないと感じる日もあるでしょう。だが、痛みは、必ず癒しを伴っているのです。
《自分の体験を確認するために》
白い紙に、ショック、否認、麻痺、不信感と関連して経験したことを書いてください。そのことに関連して、感じたことを日々綴っていく日記などは、あなた自身の思いや感情に対する理解を深めるために有効です。そして、必ず「私のショック、否認、麻痺、不信感の経験は・・・ものでした(です)」と書いてみてください。